
病院のベッドで漫画を描く丁さん(撮影日不明、提供写真)。(c)CNS
【10月31日 東方新報】丁さん(仮名)は2015年9月、希少がんの「神経内分泌腫瘍」末期だと診断された。
それから毎日、何十錠も薬を服用し、「戦車に押しつぶされるような」手術を経て、化学療法により体はやせ細っている。
丁さんは、闘病生活を漫画に描くことにした。
丁さん自身をキャラクターにした「丁神経」と、丁さんの「ライバル」として描かれる青い色をした小さい悪魔の「腫瘍君」が巻き起こす「細胞戦争」だ。同じように病気で苦しんでいる人へ「闘い方」を教えると共に、「丁神経」と家族の心温まるシーンが描かれている。
漫画は現時点で67話まで更新され、インターネット上で話題になっている。丁さんは、「韓国ドラマの主人公みたいに番狂わせはたぶん起こらないだろうけど、少なくとも病気で苦しんでいる人が僕の漫画を見て笑ってくれたらいいと思う」と話す。
病気が見つかったきっかけは、会社の健康診断だった。その数か月前から胸が痛くて眠れないなど、何かの病気なのではないかという予感はしていた。しかし、まさか「不治の病」に犯されているとは夢にも思っていなかったという。
医師は、この種類のがんは発病率がとても低いが、治癒率はもっと低いと言った。それを聞いた丁さんは、「末期なのであと何か月持つかわからない」と感じたという。
帰宅後に妻に病気のことを告げると、声を上げて泣いた。また、両親に電話で伝えると、受話器の向こうでしばらく押し黙ったままだったという。
丁さんは、電力自動化会社に勤めるエンジニアだった。妻と娘と家族3人、幸せに暮らしていた。明るい性格で、毎日幼い娘と遊ぶのを生きがいにしていた。
「がんは事故よりましだよ。少なくとも遺言が残せるじゃないか」。妻がひとしきり泣き終わると、丁さんはにっこり笑って言った。
しかし、その日の丁さんの日記には「旧暦の秋分というこの日、暑い夏が終わりを告げ、だんだんすがすがしい秋に移り変わり始める。いい気分のはずのこんな日に、神様はとんでもなくひどい冗談を言う。僕の人生は、突然真冬になってしまった」と書かれていた。
しかし、丁さんが悲観的な気分になり落ち込んだのは、たった1日だけだった。「僕は息子であり、夫であり、父親なんだ。諦めてはいけないと思った」。次の日から丁さんは治療を開始すべく病院を探した。
2015年11月、丁さんは手術を受け、太ももに大きな穴を開けたという。その時の痛みを「腰椎をかかとで思い切り踏みつけられて、その後同じ場所をゾウに踏みつけられたような感覚」と表現している。
身体の痛みは幾度となく丁さんを苦しませ、その度に諦めそうになったという。辛い闘病のさなか、熊頓(Xiong Dun)という女性エッセイ漫画家が、自身の闘病生活を面白おかしくつづった『出て行け!』という漫画作品にインターネット上で出合った。
作者は、29歳でリンパがんのために亡くなっていた。作品を読んで感動した丁さんは、自分の闘病生活も記録しなければとすぐにペンを執った。大学生の頃に漫画を描いたこがあったのだ。
第1話は、『そのうち毒殺してやる』。主人公の「丁神経」が毎日服用している山のような薬を使って、「腫瘍君」を「毒殺」してやるのだという。
丁さんは一日中描き続けた。何日か安静にしていなければならない日もある。丁さんにとって、漫画は生き甲斐になっていった。徐々にファンもでき、更新を楽しみにしているという。7歳の娘も漫画のファンで、「戦争はどこまで進んだの?」といつもと聞いてくるという。
「これは僕の第2の人生。以前は気付かなかった色々なことに気づかせてくれた。命や家族の大切さを、今まで以上に知った。何か月も先のことは考えていない。1日1日大切に過ごさなければいけないと思っている」と話した。
(c)東方新報/AFPBB News
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